成長企業のオフィス戦略

成長企業・アルコ株式会社が仕掛けるオフィス戦略──社名変更と本社移転から読み解く企業変革の本気度

Date: 2025.06.30
成長企業・アルコ株式会社が仕掛けるオフィス戦略──社名変更と本社移転から読み解く企業変革の本気度

企業の成長フェーズにおいて、「オフィス移転」は単なる場所の移動にとどまりません。
それは、カルチャーの再構築、人材採用の強化、ブランドの再定義といった多面的な目的を持つ、重要な戦略転換の一手です。

2024年6月、輸入卸売業を手がけるアルコインターナショナルは、社名を「アルコ株式会社」へと変更するとともに、大阪・梅田の新拠点「PRIME GATE UMEDA」への本社移転を発表しました。この2つの大きな決断からは、同社の“成長への本気度”が色濃く浮かび上がってきます。

今回はこのプレスリリースから、成長企業が選ぶオフィス戦略のあり方を読み解いていきます。

シンプルな社名でブランドを再定義「アルコ」の選択

かつての「アルコインターナショナル」という社名には、貿易や海外事業への志向が込められていました。
しかし現在は、BtoBの輸入卸にとどまらず、BtoC領域や飲食、小売といった生活者に近い領域へと事業を拡張中。
その背景には「より広く、親しみやすい企業イメージ」を築く必要がありました。

そこで新社名「アルコ株式会社」が誕生。

短く覚えやすい名称は、対顧客・対社会との接点を強化するうえで、ブランディング上も有効です。
企業がフェーズを進める際には、こうした“言葉の刷新”が戦略の起点になることが多く、アルコもまさにそのタイミングを迎えたといえるでしょう。

大阪・梅田「PRIME GATE」へ本社移転──採用・交通アクセス・ブランドの三拍子

移転先として選ばれたのは、大阪駅・梅田駅から直結の好立地「PRIME GATE UMEDA」。

都心の中心に位置するこのロケーションは、利便性はもちろんのこと、対外的な信用や社員満足度の向上にも直結します。

特に注目すべきは、採用力の強化。
アクセスの良さは、働きやすさの実感値を大きく引き上げます。
さらに、面接来訪時の印象や職場のイメージも、企業理解を深める大きな要因となります。
場所そのものが、企業の“営業資料”になり得るのです。

約1.4倍の拡張で「未来への余白」を確保

今回の移転で、オフィス面積は約1.4倍に拡張されました。

この拡張は、単なる増床ではありません。
「今後の仲間の増加に対応できるような、柔軟性のある空間設計」を目的とし、今はまだ空いているスペースも「成長の余白」としてあえて残されています。

成長企業に必要なのは、「今ちょうどいい広さ」ではなく、「未来を見据えた拡張性」です。
アルコの戦略は、空間設計においても一貫して“変化への備え”が反映されています。

働く空間とブランド体験を融合する「木・土・緑」のオフィス

今回の内装デザインのテーマは「木・土・緑」。

木製の梁が走る天井、テラコッタの壁、観葉植物が配置された中庭──それはまるで、都心に現れた“もうひとつの居場所”のようです。

また、来訪者を迎えるショールームには「素材・質感・香り」といった五感でブランドを感じられる工夫が施されています。
これはオフィスを「働くための場」だけでなく、「ブランド体験の場」として再設計していることの現れだと言えるのではないでしょうか?

新たなMVVとロゴがカルチャーを定義する

新たに発表された企業理念(MVV)も、オフィスと連動しています。

MISSION:「地球を、たのしくする」

VISION:「Empower Every Day」

VALUE:「ワクワクファースト」「変化を楽しみリードする」「最速」「刺激しあい高め合う」「ワンチーム」

この言葉たちは、ロゴデザインにも表れています。

幹と枝で構成された“ワクワクの木”のロゴは、まさに「つながり・成長・未来」を可視化するシンボル。
働く場所そのものが企業理念を内包する空間として機能しているのです。

まとめ:移転は終わりではなく“始まり”

アルコ株式会社のオフィス移転は、社名変更・MVV刷新・事業多角化を支える土台として設計されていました。
採用強化、柔軟な成長対応、ブランド体験の場づくりと、あらゆる側面から“成長への投資”が込められた移転といえるでしょう。

オフィス戦略とは、建物の話ではなく「企業のこれからをつくる話」。
アルコの事例は、そんな問いに対してひとつの明確な答えを示してくれています。

企業情報

会社名 アルコ株式会社(ALCO LTD.)
所在地 大阪市北区大深町2-2 PRIME GATE UMEDA 8F
代表者 降幡 昌弘
設立 1971年
事業内容 アルコ株式会社は、輸入卸売を主軸にエシカル・サステナブルなブランドを多数展開。現在は小売、飲食、地域貢献プロジェクトなど多方面への事業展開を進めており、「地球をたのしくする」ミッションのもと、生活者と社会にワクワクを届けている。
取り扱いブランド:Body Glide® / Boody® / Ciele Athletics™ / Cotopaxi® / Feetures® / Flowfold® / Hydro Flask® / Hyperice®/ Nocs Provisions / NOMADIX™ / OOFOS® /OXO® / Topo Athletic® / Zip Top®
URL https://www.alco-group.co.jp/
出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000310.000055351.html
アバター画像
この記事を書いた人

オフィス革命編集部

オフィス革命編集部スタッフです。オフィス移転のご担当者様のアイデア、力になれるような有用な記事の執筆を心がけています。 株式会社ピーパタ

Trending Topics
  • 成長企業・エニワン株式会社が「共創型オフィス」を実現した背景
    成長企業のオフィス戦略
  • 成長企業・アルコ株式会社が仕掛けるオフィス戦略──社名変更と本社移転から読み解く企業変革の本気度
    成長企業のオフィス戦略
  • オースタンス、創業の地・五反田に本社を移転 ── 対話の起点となるオフィス戦略
    成長企業のオフィス戦略
  • コンテンツ産業の未来を育む拠点:TCIC、中野坂上への仮移転と支援強化の意義
    スタートアップ
  • 鉄鋼商社が描く、サステナブルなオフィスの未来:伊藤忠丸紅鉄鋼の挑戦
    成長企業のオフィス戦略
  • スタートアップの成長を支えるオフィス戦略:M&Aドットコム、WeWork オーシャンゲートみなとみらいへ本社移転
    成長企業のオフィス戦略
  • 九電工が描く未来志向のオフィス戦略──天神に新本社移転、その狙いと働き方改革の本気度
    成長企業のオフィス戦略
  • 三井倉庫グループが移転「交流と刺激による変革」東京地区の本社機能の統合・移転
    成長企業のオフィス戦略
  • 工場移転で使える補助金・助成金の完全活用ガイド
    工場の移転
  • 小規模な倉庫引っ越しの費用・流れを解説~トランクルームの活用法まで
    倉庫の移転
New Partner

関連する投稿がありません。

ご利用料無料で
“コスパ×効率化”
なオフィス移転

オフィス移転に関するご相談・お見積りはすべて無料!
レイアウト設計から引越し・内装・原状回復、さらに不要なオフィス家具の買取まで、オフィス革命がトータルで対応します。
プロの視点でコスト削減をご提案し、「まるっと丸投げ」で効率的に移転が完了。
移転担当者さまの負担を最小限に、スムーズなオフィス移転を実現します。

アドバイザーに相談する
2025 OFFICE-KAKUMEI.JP P-PATA CO.,LTD.ALL Rights Reserved.